わたしの部屋が明るいから

開けた窓の外は真っ暗で何も見えないのだけれど、

 

真っ暗な景色は

その先が無限に広がっているように見えて、
遠くまでつながっているように感じられて

 

 

この先にいる「あなた」を感じたような気がして、

 

受け取ってくれるあなたに届けるように、

言葉を書いてみたいと思いました。

 

たいそうなことを伝えたいわけではなくて、
でも、なにかを届けてみたくて、

あなたとわたしが響きあう音を感じながら、
これを書いています。

 

伝えたい何かがあるわけではなくて
言いたいなにかがあるわけではなくて

 

 

わたしとあなたの間に置いたこの言葉を、
共有していることそのものを感じてみたいのだと思います。

 

 

長い長い魂の歴史の
たった一瞬の出来事として

 

このとてもたわいのない言葉を共有していていることを

こうして考えていると、

 

なんだか、

言葉ではないなにかが
交わされているのを感じるのです。

 

わたしたちはつながっているから

きっと、あなたは

わたしがこの言葉を書いているとき、
あなたに向けて書いていることをもう知っていて

わたしも、あなたがこれを読んでいるとき、
あなたがこれを読んでいることを知っていて

 

そうしてなにかを交わしあってから

また通り過ぎていくのだけれど

 

 

 

それは、なんだか

散歩中すれ違った人に

 

 

「こんにちは」

「こんにちは」

 

とお互いに笑いかけるような

 

そんなあたたかさを感じるのです

 

 

 

 

もしかしたら、

そうして感じたあたたかさを、

 

あなたに伝えたかったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

きっと、届けたかったのは言葉ではないんです。

届けたかったのでもないのかもしれないです。

 

わたしとあなたの間で響きあう音を、一緒に聴きたかったのだと思います。

「聴こえたよ」と伝えたかったのだと思います。

 

 

 

流れ星だね、
ああ、ほんとだ、流れ星だね

 

そんな

特別でもないけど、
なんだか特別なことを見つけてうれしくなって、

一緒に共有するような気持ち。

 

一緒に空を眺めているような気持ちで、
あなたを感じながら、

この言葉を書いていたよ。

 

 

これを読んでいるあなたへ。

いま、生きているあなたへ。

 

 

佐々木明里より